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五月のしまいの日曜でした。わたくしは賑やかな市の教会の鐘の音で眼をさましました。もう日はよほど登って、まわりはみんなきらきらしていました。時計を見るとちょうど六時でした。わたくしはすぐチョッキだけ着て山羊を見に行きました。すると小屋のなかはしんとして藁が凹んでいるだけで、あのみじかい角も白い髯も見えませんでした。
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またそのなかでいっしょになったたくさんのひとたち、ファゼーロとロザーロ、羊飼のミーロや、顔の赤いこどもたち、地主のテーモ、山猫博士のボーガント・デストゥパーゴなど、いまこの暗い巨きな石の建物のなかで考えていると、みんなむかし風のなつかしい青い幻燈のように思われます。
それからちょうど五日目の火曜日の夕方でした。その日はわたくしは役所で死んだ北極熊を剥製にするかどうかについてひどく仲間と議論をして大へんむしゃくしゃしていましたから、少し気を直すつもりで酒石酸をつめたい水に入れて呑んでいましたら、ずうっと遠くですきとおった口笛が聞えました。
あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎら
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